借金問題解決の大きな助けとなる、債務整理。
借入先と和解した場合や裁判所に返済困難が認められた場合などに、借金を減額または全額免除してもらえるという特徴があります。
借金問題の根本的な解決方法というだけあり連日全国の司法書士事務所などに「債務整理をしたい」という相談が来るわけですが、そこで依頼者からよくいただくのが

という質問です。
債務整理は金銭にかかわる問題のため、できることなら人に知られたくないですよね。
そこで今回は、バレずに債務整理を行うにはどうすればいいのかについて解説していきます。
債務整理を行った場合の会社や家族への影響や、会社にバレてしまったときどうなってしまうのかなどについてもあわせてご説明するので、債務整理を検討中の方はぜひ参考にしてくださいね。
この記事で説明していること
◆ バレずに債務整理するには、任意整理が有効
◆ 個人再生・自己破産はバレる可能性大
◆ 債務整理をしたことが会社にバレたとしても、とくに影響はない
Contents
バレずに債務整理するには?
債務整理したことを他人に知られたくないのであれば、任意整理を選択することがおすすめです。
債務整理の方法には任意整理、個人再生、自己破産の3つが主に挙げられますが、任意整理は唯一裁判所を介さない手続きのため個人再生や自己破産よりもバレにくいといわれています。
逆に個人再生や自己破産は裁判所を通して行う手続きであり場合によっては財産の差し押さえもあるため、家族にはバレやすいといえます。
任意整理はバレにくい
周囲にバレることなく債務整理をしたい場合、任意整理を選んでおくのが得策です。
代表的な理由としては、下記が挙げられます。
✅ 裁判所が介入しない手続きであるから
✅ 借金の整理対象を任意に選択できるから
✅ 司法書士などに手続きを代行してもらえるから
✅ 短期間で手続きを終えられるから
裁判所が介入しない手続きであるから
任意整理は債務整理の中でも唯一裁判所を通さない手続きになります。
そのため源泉徴収票などが必要な個人再生や自己破産と異なり必要書類が少なく、裁判所への出頭も必要ありません。
手続きが平日にあると会社を休むことになり周囲の人にバレてしまうリスクが高くなりますが、任意整理を選択することで手続き上でバレる可能性を最小限に抑えることができます。
借金の整理対象を任意に選択できるから
個人再生や自己破産と異なり、任意整理では借金を減額してもらう整理対象を任意に選択することができます。
そのため借金に保証人がついていた場合にはそちらに請求がいくことになり債務整理の事実を知られてしまうことになりますが、任意整理では保証人のいる借入先を整理対象から外すことでそのリスクを回避することができます。
司法書士などに手続きを代行してもらえるから
司法書士や弁護士に手続きを依頼することで、周囲にバレるリスクをさらに引き下げることができます。
任意整理手続きは、借入先との和解を目的とするやりとりがメインです。
個人で手続きを行うとなると自宅に連絡がくる、または書類が届くことで家族に知られてしまう可能性が高まります。
一方、司法書士などに依頼をすれば手続きを代行してもらうことができ、家族にバレたくない旨を伝えることで自宅に書類が送られないようにするなど配慮した対応をとってもらうことができます。
また司法書士などに手続きを依頼すると「受任通知」というものが整理対象の借入先に送付されます。
受任通知には借金の督促や取り立てを停止する法的効力があるため、精神的ストレスも軽減することができます。
短期間で手続きを終えられるから
任意整理は、個人再生や自己破産と比べ手続き期間が短いという特徴があります。
債務整理の手続きは司法書士や弁護士に代行依頼をすることができますが、1から10まですべてを任せられるものではありません。
続き期間中は、依頼した司法書士などと連絡を取り合ったり必要書類を手元に集めたりしなければなりません。
そのため、手続き期間はできる限り短い方が周囲にバレるリスクも低くなります。
任意整理は手続き期間が約3~6ヶ月になるため、個人再生(約半年)や自己破産(約半年~1年)と比べ短く比較的バレにくいのです。
個人再生や自己破産はバレる可能性が高い
任意整理と比べ、個人再生や自己破産は比較的周囲にバレやすいといえます。
代表的な理由としては、下記が挙げられます。
✅ 裁判所が介入する手続きであるから
✅ 財産を差し押えられる可能性があるから
裁判所が介入する手続きであるから
任意整理と逆になりますが、個人再生や自己破産は裁判所を通す手続きです。
そのため提出する書類も多く家計全体の収支状況や退職金の見込み額なども報告しなければならないため、それらの情報を集める際に会社や家族に感づかれてしまう可能性があります。
また平日に裁判所へ出頭するなどの場合会社を休まなければならず、その際にうまく理由を伝えられないことで怪しまれてしまうという場合もあります。
これに関しては自分次第ですが、噂というのはどこから立つのかわからないものなので十分に注意した方がよいでしょう。
財産を差し押えられる可能性があるから
個人再生や自己破産では、手続きを行うと現在所有している自動車やその他財産を差し押さえられる可能性があります。
そのため、実際に差し押さえられてしまった場合には家族に隠し通すのは非常に困難だといえるでしょう。
これまで使用していた自動車が突然なくなってしまったら、理由を聞かれることは確実です。
上記の「裁判所が介入する手続きであるから」でもお話した通り、家計全体の収支状況も必要となり同居している場合には家族の源泉徴収票も必要となります。
個人再生や自己破産を行う際には、事前にきちんとと家族に相談しておいた方がスムーズに事が運ぶでしょう。
債務整理が会社や家族にバレるのはどんなとき?
債務整理手続きを行う際に司法書士や弁護士に代行を依頼しなかったり手続き後に返済を滞納したりすると、会社や家族にバレてしまいやすくなります。
一体どんなケースに債務整理をしたことがバレてしまうのが、いくつかの例をご紹介します。
官報の記載を見られる(個人再生・自己破産の場合のみ)
可能性としては非常に低いですが、官報に掲載された個人情報を通して周囲の人にバレてしまうことがあります。
個人再生や自己破産の場合、手続きを行うと官報に名前や住所などの個人情報が載ることになります。
官報とは
法律・法令の改正や破産などの裁判内容を掲載している、政府発行の公告文書。
祝日を除き毎日発行されている。
官報は政府から国民へ法令等の情報を伝達する重要な文書ですが、雑誌のように一般的に人が目にするものではありません。
読んでいるのは主に役所や金融機関など限られた人になるため、官報を通してバレる可能性はほぼないといってよいでしょう。
手続き後に返済や依頼費用を滞納する
債務整理手続き後に借金の返済を滞ると、督促の電話や督促状などで周囲の人にバレてしまうことがあります。
債務整理は借金を減額または全額免除してもらう方法ですが、債務整理後もなお借金返済を滞納してしまう人がいます。
以前手続きを司法書士などに依頼しており受任通知を送付していたとしても手続き後には効力を持たないため、借金を滞納してしまうと借入先から督促の電話がかかってきたり督促状が届いたりすることになります。
携帯への電話のみならず自宅にかかってくることもあり、それでも滞納を続けると会社にまで電話がかかってくる可能性も十分にあります。
また自宅に届いた督促状を家族に見られてしまえば、せっかくバレずに手続きを終えた債務整理の事実を知られてしまうことになります。
ブラックリスト登録期間中にクレジットカード利用やローン申込をする
任意整理や個人再生、自己破産などの債務整理を行うと信用情報機関に事故情報が登録される、いわゆる「ブラックリスト入り」した状態になります。
ブラックリストに登録されてしまうと、クレジットカードの利用や新規申し込みができない、ローンの新規契約ができない、分割返済ができないなど日常生活の支払いにおいて支障が生じることになります。
家族との買い物の際にクレジットカードが使えないと疑問に思われてしまう可能性があり、そこから債務整理を行ったことがバレてしまうことも考えられます。
債務整理をした場合のブラックリスト登録期間は5~10年になるので、その期間中はクレジットカードでの支払いを控えたりデビットカードを使用したりする方が良いでしょう。
債務整理をしたときの会社への影響
債務整理をすると「会社をクビになってしまうのではないか」と心配になりますが、債務整理を理由に会社をクビになることはありません。
債務整理の中でも任意整理を選択すれば、周囲の人にバレにくいとお話しました。
それでも何かのきっかけで会社に知られてしまう可能性はゼロとは言い切れません。
しかし、基本的に債務整理をしたことが原因で会社をクビになってしまうことはないといえます。
ただし債務整理期間中は一定の職業に就くことが制限されるため、該当する職業の方はその間収入を得ることができない可能性があるので注意しましょう。
債務整理が理由でクビになることはない
債務整理を行った場合でも、それを理由にクビにされることはないといってよいでしょう。
会社が破産のみを理由に解雇すると、不当解雇に該当してしまうからです。
ただし生命保険募集人などは、就業規則内で“破産をした場合には解雇する”と定められている可能性もあります。
またクビにはならずとも、昇進に影響が出る、会社で噂が広まっていづらくなるといったケースは大いに考えられます。
会社での立場が気になるのであれば、できる限り周囲にバレないように行動した方がよいでしょう。

自己破産の場合、手続き期間中就けない仕事がある
自己破産の場合、手続き期間中に一定の職業に就くことができなくなる“職業制限”というものがあります。
職業制限に該当する職業は、下記の職業が挙げられます。
✅ 士業(弁護士、司法書士、税理士、公認会計士など)
✅ 金融関連業(貸金業、質屋、生命保険募集人など)
✅ 公務員(教育委員会の委員長・委員など)
✅ 団体企業の役員(日本銀行、商工会議所など)
✅ その他(警備員、風俗業、建設業など)
主に財産を扱うような職種に制限がかかり、士業であっても医師や看護師は該当しません。
また自己破産をして職業制限がかかったとしても資格まではく奪されてしまうわけではないので、手続き期間が終了し復権すれば再び仕事に戻ることができます。
債務整理のデメリットのうち家族への影響が考えられるもの
任意整理ではほとんど家族に影響が出ることはありませんが、個人再生や自己破産の場合財産の差し押さえがあるため大きな迷惑がかかる可能性があります。
また任意整理や自己破産などの方法にかかわらず債務整理を行う場合には、必ずブラックリストに登録されることになります。
ブラックリスト入りをすると、下記のような影響があります。
✅ 新規借入れ等が難しくなる
✅ 子供の奨学金の保証人になれない
✅ 保証人に請求がいく
新規借入れ等が難しくなる
ブラックリスト入りすると、クレジットカードの利用や新規契約ができなくなります。
そのため高額な家具や家電を購入する際には、現金か自分以外の家族のクレジットカードを利用して支払う必要があります。
また債務者が主契約者の家族カードを利用している場合、本人だけでなく家族もカードの利用を制限されてしまいます。
債務者が主契約者でない場合においてはそのまま家族カードを利用できる場合がありますが、更新時に本人分にのみ利用制限がかかる可能性もあります。
さらに、新たなローンも組むこともできなくなります。
そのため基本的に自動車ローンや住宅ローンも組むことができず、予定していたライフプランを大きく変更する必要性もでてきます。
子供の奨学金の保証人になれない
ブラックリストに登録されていると、奨学金の保証人になることができません。
借金の保証人には、基本的にブラックリスト入りしているなど返済能力がないと見なされる人がなることはできません。
そのため子供がいる場合、高校や大学の進学費用を工面することが難しくなる可能性があります。
他に保証人を頼める人が見つからない場合子供の人生にも大きく影響するため、慎重に検討する必要があるでしょう。
保証人に請求がいく
家族が借金の保証人である場合には、債務整理をするとその請求が家族にいくことになります。
妻や夫などが借金の保証人となっている場合には、債務整理方法にかかわらずそちらに請求がいくことになるので注意が必要です。
ただし任意整理は唯一整理対象を任意に選択することができる債務整理のため、家族が保証人になっている借入先を整理対象から外すことができます。
なお、それぞれの債務整理方法に応じた登録期間が過ぎ事故情報が抹消されると、上記の制限もなくなります。
ブラックリストは一生登録されるものではないため、自分の現状と照らし合わせて債務整理を行うべきか判断しましょう。
任意整理のデメリットのうち家族への影響が考えられるもの
任意整理の場合、基本的に本人と借入先の二者間でやりとりが行われるため手続き上で家族に迷惑がかかることはありません。
ただし任意整理を含む債務整理を行うと信用情報機関に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ため、それによって間接的に家族への影響が出る可能性があります。
任意整理の場合、ブラックリスト登録期間は約5年です。
個人再生のデメリットのうち家族への影響が考えられるもの
家族への影響が考えられる個人再生のデメリットは、住宅以外でローン返済中の財産は差し押さえられる、官報に掲載されるなどです。
個人再生は任意整理よりも減額幅が大きい分、手続きも複雑になり家族への影響も大きくなります。
また任意整理と同じくブラックリスト入りすることにもなるため、クレジットカードの利用などにおいて支障がでることにもなります。
個人再生の場合、ブラックリストの登録期間は約5~10年になります。
住宅以外でローン返済中の財産は差し押さえられる
個人再生の場合、自動車など“ローン返済中であり手元にある財産”は差し押さえの対象となり引き揚げられてしまいます。
居住地や仕事環境によっては、自動車がないと生活に多大な影響を与えることになります。
特に家族で一台の自動車を共有している場合には、通学や買い物にも不便が生じるかもしれません。
バレずに個人再生としたいと考えている場合でも、これらの財産が差し押さえられたときに必ずバレてしまいます。
なお、住宅に関しては「住宅ローン特則」というものがあり差し押さえの対象ではありません。
官報に掲載される
政府の公告文書である官報によって周囲の人に債務整理をしたことがバレる可能性がありますが、その影響は自分だけではなく家族にももちろん及びます。
債務整理をしたことで家族の信用情報まで傷がつくことはありませんが、周囲の態度やウワサ話などで嫌な思いをするケースは十分に考えられます。
家族への影響が考えられる自己破産のデメリット
家族への影響が考えられる自己破産のデメリットは、最低限必要なもの以外の財産は差し押さえられる、官報に掲載されるなどです。
自己破産は任意整理や自己破産と異なり借金が全額免除になるというメリットがある分、一定価値を超える財産が差し押さえの対象となるため家族への影響も最も大きいといえます。
また任意整理と同じくブラックリスト入りすることにもなるため、クレジットカードの利用などにおいて支障がでることにもなります。
個人再生の場合、ブラックリストの登録期間は約5~10年になります。
財産が差し押さえられる
自己破産の場合、一定価値を超えるすべての財産を差し押さえられることになります。
99万円以下の現金など最低限生活に必要と判断されたものは差し押さえられませんが、それ以外の財産は手元に残しておくことができません。
個人再生と異なり住宅も差し押さえの対象となるので、これまで住んでいたところにいられなくなるという大きな影響を家族に与えることになります。
自己破産の場合家族にバレずに手続きを行うことはかなり難しく影響も多大になるため、事前にきちんと相談しておくことが必要になります。
官報に掲載される
政府の公告文書である官報によって周囲の人に債務整理をしたことがバレる可能性がありますが、その影響は自分だけではなくもちろん家族にも及びます。
債務整理をしたことで家族の信用情報まで傷がつくことはありませんが、周囲の態度やウワサ話などで嫌な思いをする可能性は十分に考えられます。
最もバレにくいのは任意整理
今回は、バレずに債務整理を行うにはどうすればいいのか解説しました。
主な債務整理方法の中で、最もバレにくいのは任意整理です。
任意整理は債務整理の中で唯一裁判所を通さず手続きも簡易的であることから、周囲にバレる可能性が低いとされています。
個人再生や自己破産の場合は手続きを行うと財産を差し押さえられてしまう可能性があるため、家族に隠し通すのは難しいといえます。
場合によっては家族に大きな迷惑をかけることにもなるため、個人再生や自己破産を選択する際は事前に相談しておく方がよいでしょう。
また司法書士や弁護士に手続きの依頼をすることで、周囲にバレる可能性を引き下げることができます。
債務整理をご検討の際はとりあえず専門家に相談してみることが、借金問題解決への第一歩です。
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依頼者様の状況において、最も適した債務整理の方法をご提案します。

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