みなさんは「おまとめローン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
おまとめローンを利用すると借金を一本化することができ、毎月の金利を抑えたり返済管理をしやすくしたりすることができます。
複数の借入先がある多重債務者にとって多数のメリットがあるおまとめローンですが、利用するにあたり注意点ももちろんあります。
そこで今回は、おまとめローンについてメリットや注意点などを解説します。

Contents
おまとめローン=借金の一本化
おまとめローンとは、複数業者からの借入れを一本に“おまとめ”することで金利を安く抑えるなどできるサービスのことをいいます。
カード会社や消費者金融など複数業者のローンを利用している場合、
✅ 利息がかさむ
✅ 毎月の返済額が高額になる
✅ 返済日の違いから返済を忘れてしまう
など返済が困難になり、管理も難しくなってしまいます。
そこで現在借入れをしている業者よりも低い金利での借入れを新たに行い他の業者への返済を一括で済ませることで、今後の返済は新たに借入れをした業者ひとつだけに絞ることができます。
この“借金の一本化”をできるのが、おまとめローンという仕組みです。
例えばA社(金利16%)から100万円、B社(金利17%)から70万円、C社(金利18%)から30万円、合計200万円の借金があるとします。
このとき新たにD社(金利15%)から200万円を借り入れることによってその他のA・B・C社からの借金を一括返済し、今後はD社からの借金200万円を金利15%で返済していく、ということです。
借金総額は変わりませんが
✅ 金利が15%にまで抑えられる=毎月の支出を減らすことができる
✅ 借入先がひとつになる=返済を忘れにくくなる
などの効果を得ることができるようになります。
また、おまとめローンのように金融機関から受ける新たな融資によって別の金融機関から借りていた既存の借金を返済することを「借換え」といいます。
総量規制はおまとめローンに適用されない
おまとめローンは、「総量規制」の適用範囲外の貸し付けとなります。
総量規制とは消費者の過度な借入れを防ぐことを目的とした貸金業法での規制のことをいいます。
総量規制では、カードローンやキャッシングの借入れ総額は“年収の3分の1まで”と定められています。
第十三条の二(過剰貸付け等の禁止)
貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合において、前条第一項の規定による調査により、当該貸付けの契約が個人過剰貸付契約その他顧客等の返済能力を超える貸付けの契約と認められるときは、当該貸付けの契約を締結してはならない。
2 前項に規定する「個人過剰貸付契約」とは、個人顧客を相手方とする貸付けに係る契約(住宅資金貸付契約その他の内閣府令で定める契約(以下「住宅資金貸付契約等」という。)及び極度方式貸付けに係る契約を除く。)で、当該貸付けに係る契約を締結することにより、当該個人顧客に係る個人顧客合算額(住宅資金貸付契約等に係る貸付けの残高を除く。)が当該個人顧客に係る基準額(その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものを合算した額に三分の一を乗じて得た額をいう。次条第五項において同じ。)を超えることとなるもの(当該個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約として内閣府令で定めるものを除く。)をいう。
しかし中には「例外貸付け」と呼ばれるものもあり、おまとめローンもその内のひとつです。


ある一定の条件を満たす契約は、例外貸付けと呼ばれます。
条件とは主に「顧客の利益の保護に支障を生ずることのない貸付け」のことをいい、下記のようなものが該当します。
✅ 顧客に一方的に有利になる借換え
✅ 借入残高を段階的に減少させるための借換え
✅ 配偶者と併せた年収3分の1以下の貸付け
✅ 新たに事業を営む個人事業者に対する貸付け 等
おまとめローンは法令で規定された条件を満たしており「顧客に一方的に有利になる借換え」であるとみなされるので、総量規制の範囲外で契約をすることができます。
総量規制の例外貸付けに該当する借換え
◆ 借換えの対象となる債務が、貸金業者からの借入れであること(銀行・親族・知人からの借入れは対象外)
◆ 借換え後の金利が、借換え前の金利を上回らない
◆ 借換え後の一か月の負担額が、借換え前のものを上回らない
◆ 借換え後の担保や保証に係る条件が、借換え前よりも厳しくならない 等
注意ポイント
おまとめローンは総量規制にかかわらず契約可能ですが、その借入額は借入れ総額に組み込まれます。
そのため新たに借入れを行うことができるのは例外貸付けにあたるものの場合、おまとめローンの借入額を含めた借入総額が年収の3分の1以下の場合になります。
おまとめローンのメリット
おまとめローンのメリットには、金利を減額できる、毎月の返済額を減額することができる、返済日を統一できる、多重債務状態を解消することができることなどが挙げられます。
金利を減額できる
おまとめローンの最大のメリットは、なんといっても金利を減額することができる点です。
個別で返済をしていたときよりも低金利で新たな借り入れを行うことができれば、大幅な利息の軽減が期待できます。
「数パーセントしか変わらないなら、わざわざ手間をかけて借換えしなくてもいい」なんて声も聞こえてきそうですが、両者の場合で利息の総額を計算してみるといかに利息にお金をとられているのかがわかります。
毎月の返済額を減額することができる
上記で述べたように金利を減らすことができれば毎月の返済額も抑えることができるので、結果的に返済の負担を軽減することが可能になります。
また、おまとめローンの毎月の最小返済額が現在返済を行っている借入先の最小返済額よりも低い場合、おまとめローンの最小返済額に変更することでさらに返済に余裕が出てきます。
いままで利息や返済に充てていた分のお金を好きなものの購入や貯金にまわすことができれば、生活の質を一層高めることにもつながります。
借金の返済日を統一することができる
おまとめローンにすると、借入先ごとに定められた複数の返済日を統一することができます。
複数の借入先から借金をしている場合、借入先ごとに返済日が異なるため返済を忘れてしまう、または管理が面倒であるなどのデメリットがあります。
返済日までに入金していないと借金の滞納とみなされ、いわゆる“ブラックリスト”に登録されてしまう可能性があります。
一度ブラックリスト入りしてしまうとクレジットカードが使えなくなる、ローンが組めなくなるなど日常生活に多くの制限がかかります。
またブラックリスト登録期間も約5~10年とされており決して短いものではないため、滞納はなんとしても避けなければなりません。
おまとめローンにすると借入先をひとつに絞ることができるため、当然返済日も特定の一日だけになり返済忘れを防止することに効果的です。
定められた返済日までに入金をしておけばいいので管理もしやすく、複数の借入れによって余裕がないという人にも大きなメリットとなります。
多重債務状態を解消することができる
おまとめローンを利用することで借入先をひとつにまとめることができるため、多重債務の解消にもつながります。
多重債務とは
複数の借入先から借金をしている状態のこと
多重債務であること自体に問題があるわけではありません。
しかし多重債務状態に陥ると、毎月複数の借入先から返済を請求されたりひと月に何度もお金が引き落とされたりすることで精神的ストレスを感じやすくなります。
また返済日が複数であることから入金を忘れ、借金を滞納するリスクが高まります。
借金滞納が続いてしまうと信用情報機関であるブラックリストに載り、新規のローン契約やクレジット契約において支障をきたすことになります。
多重債務は社会的にも印象が良くなく返済の見通しも立ちづらいので、債務者にとっては良い状態とはいえません。
おまとめローンで借金を一本化することでこれらの問題はただちに解消することができるため、大きなメリットであるといえるでしょう。
おまとめローンの注意点
おまとめローンは上記でご説明したとおり様々なメリットがあり大変便利な仕組みですが、使用する際はいくつかの注意点があります。
金利が高額な場合がある
一般的におまとめローンは通常ローンよりも金利が低く設定されていますが、まれに通常ローンよりも金利が高く設定されている場合があります。
借金を一本化して返済管理の負担が減るとはいえ金利が上がることで利息も増え、結果的に総額が高くなってしまいます。
また金利が安いというのも消費者金融などと比べた話であり、実際は利息制限法で定められている金利の上限ギリギリで設定されていることもあります。
おまとめローンにしたことでかえって支払い総額が増えてしまったなんてことも。
毎月の最低返済額が低く設定されているところもありますが、返済額が小さいということはその分返済期間が長くなるということにもなります。
金利は返済期間の分だけかかるので利息の総額も増えますし、「利息を含めた借金総額を減らす」というおまとめローン最大のメリットを失ってしまうのは本末転倒です。

返済期間によっては支払い総額が増えてしまう
返済の負担を減らすために毎月の返済額を低く設定しすぎると、おまとめローンをする前よりも支払い総額が増えてしまう可能性があります。
毎月の支払い額を少なくするためにおまとめローンを利用している場合はよいですが、最終的な支払い総額を少なくすることを目的としている場合には意味がなくなってしまいます。
原則追加の借入れができない
おまとめローンでは、原則追加での融資を受けることができません。
おまとめローンは複数の借入れを一本化し、借金の負担を軽減することができます。
これによって家計を立て直すことができればよいのですが、おまとめローンの利用者は基本多重債務者であり再び借入れをしなければならない状況に陥ることがあります。
しかしおまとめローンでは、原則追加での融資を受けることができません。
例えば、ある3社から利息を含め総額150万円借入れている場合におまとめローンを利用する際には、150万円以上の融資を受けることはできないのです。
一方で追加融資は需要があるため、可能としているおまとめローンもあります。
そのため今後おまとめローン利用後に新たな借入れを行う可能性があるのなら、追加融資可能なおまとめローンを選択する方がよいでしょう。
おまとめローン詐欺に要注意
借金の負担を軽減することのできるおまとめローン。
残念なことにおまとめローンを利用して詐欺をはたらく悪徳業者もあります。
ここではその代表的な手口をご紹介するので、騙されないためにもきちんと確認しておきましょう。
信用調査や保証金と偽りお金を要求する
おまとめローンの申し込みを行った方に対して「信用調査のため」や「保証金が必要」などと偽り新たに貸金業者から借入れをさせお金を支払わせる手口。
支払い後は業者と連絡がつかなくなり、融資も行われない。
クレジットカードやキャッシュカードの送付を要求する
クレジットカードやキャッシュカードを暗証番号とともに送付させる手口。
業者との連絡はつかなくなり、限度額いっぱいにまで引き落とされたり犯罪に悪用されたりする。
これらの詐欺でお金をだまし取られた場合取り返すのはほぼ不可能と考えてよいでしょう。
「借金を減らすどころかお金がなくなってしまった」なんてことにならないためにも、申し込み前の入念なチェックは必要不可欠です。
おまとめローンを利用するには=銀行or消費者金融
おまとめローンは様々な会社で利用することができ、主に下記の2種類に分類されます。
◆ 銀行系おまとめローン
◆ 消費者金融系おまとめローン
銀行系おまとめローン
銀行系おまとめローンは、下記のような特徴があります。
◆ 消費者金融と比較して金利が低い
◆ 消費者金融に比べ借入限度額が高く設定されている
◆ 申し込みから融資までの期間が消費者金融に比べ長い
◆ 入会審査が厳しい
銀行系おまとめローン例 | ||
金融機関名・商品名 | 金利(実質年率) | 借入限度額 |
東京スター銀行・スターワン乗り換えローン | 12.5% | 1,000万円 |
千葉銀行・ちばぎんフリーローン | 1.7%~14.8% | 800万円 |
横浜銀行・横浜銀行カードローン | 1.5%~14.6% | 1,000万円 |
消費者金融系おまとめローン
消費者金融系おまとめローンは、下記のような特徴があります。
◆ 銀行と比較して金利が高い
◆ 銀行に比べ借入限度額が低く設定されている
◆ 申し込みから融資までの期間が銀行に比べ短い(最短当日)
消費者金融系おまとめローン例 | ||
金融機関名・商品名 | 金利(実質年率) | 借入限度額 |
アイフル・おまとめMAX | 3.0~17.5% | 800万円 |
プロミス・おまとめローン | 6.3%~17.8% | 300万円 |
アコム・借換え専用ローン | 7.7%~18.0% | 300万円 |
おまとめローン申し込み時のチェックポイント
これまでおまとめローンのメリットや注意点などについて解説してきました。
おまとめローンの利用を決めた際には、申し込み前に入念なチェックをしておくと後々起こりうるトラブルを回避することができます。
こちらでは申し込みのチェックポイントについて、ひとつずつ解説していきます。
すべての借金を“おまとめ”できるのか
“おまとめローン”と謳っていても、既存の借金をすべて一本化することができるとは限りません。
一般的に消費者金融系おまとめローンではすべての借金をまとめることが可能ですが、会社によってはクレジットカードのリボ払いが対象外のところもあります。
またアルバイトやパートで収入を得ている人は限度額が下がる場合があるので、注意が必要です。
上限金利はいくらか
おまとめローンを利用する際、最も高い金利である上限金利は必ず確認しましょう。
商品説明に必ず記載されており、既存の借金にかかっている金利よりも上限金利が低い場合には利息を減らすことができる可能性があります。
返済方法にはどんなものがあるか
おまとめローンの返済方法には、口座振替やWeb返済、コンビニATMでの振込など様々なものがあります。
申し込み先の返済方法は必ず事前に確認しておきましょう。
口座振替の場合毎月特定の日付に自動引き落としされるので返済忘れを防止することができますし、Web返済やコンビニATMでの振込が可能であれば手続きも面倒ではないので返済が億劫になりません。
しかし銀行系おまとめローンを利用する場合には他行からの口座振替ができないなどの制限が設けられていることもあるので、注意が必要です。
おまとめローン申し込みの流れ
おまとめローンを申し込む際の流れは会社によって異なりますが、概ね下記のように進んでいきます。
step
1申し込み
店頭窓口や電話、Webにて申し込みを行います。
本人確認書類や収入証明書類などが必要になります。
step
2審査・契約
申込情報をもとに審査を行います。
審査完了後、必要書類に記入後契約を交わします。
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3借入れ・他社への一括返済
申し込み先から融資を受け、既存の借入れ先からの借金を一括で返済します。
申し込み先の会社が直接返済を行うこともあります。
おまとめローンの他にも債務整理という方法で借金の負担を軽減できる
おまとめローンは借金を一本化することで利息を減額し返済にかかる負担を軽減する方法ですが、同様に負担を軽減することができる方法があります。
これを債務整理といいます。
▶【参考】債務整理とは?個人再生から自己破産までわかりやすく解説
債務整理=借金を減額or全額免除してもらう方法
債務整理を行うと、今ある借金を減額、または全額免除してもらうことができます。
債務整理は主に任意整理・個人再生・自己破産の3種類に分類することができ、それぞれ減額率やデメリットなどの特徴が大きく異なります。
任意の借入先の利息をカットできる任意整理
任意整理とは、任意の借入先からの借金によって生じた利息をカットすることができる方法です。
個人再生や自己破産では手続きの対象が原則すべての借入先になりますが、任意整理では任意の借入先を選択することができます。
そのため「自動車ローンは最後まで払いきりたいけれど、それ以外の借金は減額したい」といった場合にも借金を減額することができます。
個人再生や自己破産と異なり裁判所を通さない手続きでもあります。
手続き後は原則3年、最長5年で分割返済を行っていきます。
住宅を維持しながら借金の大幅な減額ができる個人再生
個人再生とは、住宅ローンなどを除く借金を大幅に減額することができる方法です。
減額率は借金額によって異なりますが、総額5000万円以下の借金であれば5分の1~10分の1にまで減額することが可能です。
また現在居住しておりローン返済中の住宅に関しては「住宅ローン特則」により債務整理の対象から外すことができるので、住宅を維持しながら借金を圧縮することができます。
手続き後は原則3年、最長5年で分割返済を行っていきます。
今ある借金を全額免除できる自己破産
自己破産とは、所有している財産を差し押さえられる代わりに今ある借金を全額免除してもらうことができる方法です。
裁判所に支払い困難と認められれば、サラリーマンから主婦、フリーターなど誰でも利用することができます。
全てを失ってしまうイメージがありますが、生活に必要最低限な財産については差し押さえの対象外になるため破綻した経済状況を立て直すために有効な手段だと言えるでしょう。
まとめ
今回は、おまとめローンについてメリットや注意点などについて解説しました。
ここで再度お話した内容をまとめてみましょう。
まとめ
◆ おまとめローン=借金の一本化
◆ 新たに借入れを行うことで既存の借金を一括返済し、今後は新しい借入れ先だけの返済を行っていく
◆ 【メリット】借換え前よりも利息を減額することができる
◆ 【メリット】返済日を毎月特定の一日だけすることができる
◆ 【注意点】借換え前に比べ金利が下がらない場合がある
◆ 【注意点】返済期間によっては支払い総額が借換え前よりも増える可能性がある
◆ 【注意点】原則追加での融資を受けることができない
◆ 【注意点】おまとめローンを悪用した詐欺も横行しているので要注意!
おまとめローンにすることによって債務者にとって最適な返済方法にすることができますが、場合によっては思い通りにいかないこともあります。
申し込みの際にはもちろん審査もあるので、誰でも気軽に利用できるわけではありません。
借金返済の負担を軽減するには、おまとめローンの他にも債務整理という方法があります。
債務整理には主に3種類の方法があり個人の状況によって最適なものが異なりますので、どの方法が自分の要望と合致するのかきちんと検討することが必要です。
とはいえ法律も絡み複雑な内容になるので、債務整理をご検討の際は司法書士などの専門家にご相談するのがおすすめです。
しおり綜合法務事務所では、無料での電話相談を行っております。
依頼者様の状況において、最も適した債務整理の方法をご提案します。

司法書士しおり綜合法律事務所
ご相談受付時間
09:00~19:00(土日可)
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